【第1話】僕が班長を半年で挫折し、年下に使われるだけの作業員になった話。

僕が今の会社に転職してきた時、同期はみんな、一回り以上も年下の若者たちだった。

体力勝負の工場で、彼らについていくのは正直、楽ではなかった。 「班長になれば、少しは体の負担が軽くなるかもしれない」 その一心で、僕は誰よりも必死に働いた。

その結果、同期の誰よりも早く、僕は班長になることができた。 名前を呼ばれた瞬間、雄叫びを上げたくなるほど嬉しかったのを、今でも覚えている。

しかし、それが地獄への入り口だったとは、その時の僕には知る由もなかった。

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上司と部下、二つの敵

班長になった途端、仕事の責任は一気に増えた。 そして、昨日まで仲間だったはずの同期たちの目が、変わった。 僕に向けられる、冷たい「嫉妬」の視線に、僕は気づいていた。

上司からの言葉も、日に日に厳しくなっていった。

僕は、もともと人に仕事を頼むのが苦手で、何でも一人で抱え込んでしまう性格だった。 仕事は、どんどんこなせなくなり、雪のように積もっていく。

僕と同じ範囲を担当する、もう一人の班長。 彼がもっと動いてくれれば…。しかし、彼はいつものらりくらりと仕事をかわす。 そのしわ寄せも、全て僕のところにやってきた。

「まだできないのか?」

上司の怒声が、工場に響く。 言葉は日に日に暴力的になり、最後には、手が出ることもあった。 まだ、パワハラという言葉が今ほど重くなかった時代の話だ。

部下に仕事を頼んでも、無視される。断られる。 僕は、誰にも助けを求めることができず、たった一人、心の歯を食いしばっていた。

心が壊れていく音

毎日が、苦しかった。 休憩中、2階の窓から煙草をふかしながら、ぼんやりと下を見る。 「このまま落ちたら、少しは楽になれるんだろうか…」 そんなことばかり、考えていた。

人が、怖かった。 会社に行くのが、恐怖でたまらなかった。

駐車場に車を止めてから、現場のラインまで歩く、わずかな距離。 両足が、まるで鉛の塊になったように重く、一歩、また一歩と進むのが、地獄のような苦痛だった。

「辞めたい」

その言葉だけが、頭の中をぐるぐると回り続ける。

でも、辞めるわけにはいかなかった。 一社目を、社会不安障害で辞めた時、僕は一度、家族を路頭に迷わせている。 「今度こそ、そんな想いはさせられない」 その一心で、僕は折れそうな心を必死に繋ぎとめていた。

プライドと、家族のあいだで

辞めることはできない。 でも、このままでは、いつか本当に壊れてしまう。 どうしたら?

「…もう、班長を、やめさせてもらうしかない」

その決断は、僕の最後のプライドをズタズタに引き裂いた。 班長を降りて、またただの作業員に戻る? 年下の元同期たちに使われるのか? 冗談じゃない。

しかし、僕には家族がいた。 守るべきものの前では、そんなちっぽけなプライドは、捨てるしかなかった。

上司に、震える声で伝えた。 「班長を、辞めさせてください」

返ってきたのは、想像を絶する怒号だった。 「お前のために、俺がどれだけ動いたと思ってるんだ!俺の顔に泥を塗る気か!」 「お前なんか、どこか遠くへ飛ばしてやる!」

それでも、僕にはもう、班長を続けるだけの精神力は、一滴も残っていなかった。 何のスキルもない僕には、この会社で、言われた通りに働くしか、家族を養う術はなかった。

そして翌年、僕は隣の課へ異動になった。 「班長」の肩書は消え、また、ただの作業員に戻った。

…こうして僕は、立場もプライドも、全てを失った。このまま、工場の喧騒の中で、心を殺して生きていくしかないのか。そう思い始めた時、僕はまだ知らなかった。この絶望こそが、僕の人生を大きく変える『逆転劇』の始まりになるということを。

(つづく…)【第2話】人生逆転の武器に「ランディングページ」を選んだ理由|スキルゼロでも始められるLP制作の本質

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